【犬との暮らし】知っておきたい「飼い主の義務」
知っておきたい「飼い主の義務」
4月~6月は狂犬病強化月間です。
昔は集団会場で接種することが多かった狂犬病予防接種ですが、最近では気軽にいつでも動物病院で接種できるようになったため、春に限らず、犬を飼い始めたらすぐに接種することができるようになりました。
飼い主になると、しつけやご飯のことなど、愛犬を良い子に育てることに注意が向きがちですが、それ以上に「適正飼育」の観点から、飼い主が知っておかなくてはならない「法律で定められた義務」があることをご存じでしょうか。
ワンちゃんにはしつけをしたり、人と暮らすルールを教えたり、学ばせることがたくさんありますが、それと同じくらい、「飼い主として知っておかなくてはならないこと」がたくさんあって、飼い主さん自身もワンちゃんと一緒にしっかり学んでおきましょう。
飼い主が知っておくべき「飼い主の義務」
動物愛護管理法は命ある大切なペットを守るための法律であり、同時に人の健康を守り、財産等への危害を防止するための法律でもあります。環境省が定める「適正飼育」の中に「動物管理法上の飼い主の義務」という法律や条例があります。
それとは別に、狂犬病予防法という法律の中では「犬の登録と狂犬病予防注射は飼い主の義務」として3つのことが法律で定めれています。
①現在居住している市区町村に飼い犬の登録をすること
②飼い犬に年1回の狂犬病予防注射を受けさせること
③犬の鑑札と注射済票を飼い犬に装着すること
この3つは犬を飼育する上で必ず守らなくてはならない法律なのです。
正しく知っておきましょう
「①現在居住している市区町村に飼い犬の登録をすること」についての補足です。基本的には生涯に1度だけ愛犬の所有者として届け出をします。「生後90日を経過した日」もしくは「犬を飼い始めた日」から30日以内に届け出をしなくてはなりません。また、引っ越しなどがあった場合は、改めて引っ越し先の市区町村に届け出が必要なのでお忘れなく。
「犬の鑑札」と「注射済票」を勘違いする飼い主さんも多いですが、全く違う鑑札です。
「犬鑑札」は基本的には生涯に1度発行されます。表面に登録年と市区町村名、愛犬の番号が刻印されています。また、狂犬病注射済証は毎年1回狂犬病接種後に発行され、赤・青・黄色のローテーションです。
接種年度、区町村名、番号が表示されていて、玄関先に貼るシールと一緒に届きます。新しい済票が発行されたら、すぐに首輪から付け替える必要があります。落としたり噛んで壊してしまうことがあり、首輪に装着するのを嫌がる飼い主さんも多いので、その場合は写真に収めたり、画像を印刷したものを携帯し、愛犬と一緒にいるときにはすぐに提示できるようにしておきましょう。
狂犬病予防接種の接種率
「②飼い犬に年1回の狂犬病予防注射を受けさせること」で示すように、1年に1度の接種が法律で義務づけられているのに、都道府県別の接種率を見ると驚く結果が出ています。100%には程遠く、低いところでは約60%にとどまっている都道府県もあり、年々低下傾向にあります。 参考:都道府県別接種率
「日本には狂犬病がないから打たなくていい」という話を聞きますが、それは大きな間違いです。
日本を含めた清浄国は11の国と地域しかなく、世界では年間5万人以上が命を落とし、そのうちの60%はアジア圏での発症です。
狂犬病は犬だけでなく人を含めた大半の哺乳類に感染するため、いつどのような経路で感染動物が侵入してくるかわかりません。
愛犬と人の健康を守るためには、狂犬病予防ワクチンが大切だということを再認識しておきたいところです。
ライター:今井由江