【獣医師監修】ペットの食事と獣医師の役割
ペットフード産業の成長とともに、獣医師は、飼い主や企業に対するサポートの機会が増しています。
本記事では、ペットフードと獣医師の役割と課題についてご紹介します。
ペットフードは曖昧な表現が多い
ペットフード産業が発展するにつれ、マーケティングを重視した商品が増えています。
曖昧な内容や文言を並べたプロモーションも増え、飼い主は商品の選択が難しくなっています。
近年では、オーガニックやナチュラルなどの言葉も増え、「なんとなく良さそう」という理由で商品を選択されている方も多いのではないでしょうか。
オーガニックフードとは
オーガニックは、世界で統一された基準がありません。
例えば米国のオーガニックフードはUSDA(米国農務省)のNOP(National Organic Program)基準に基づき認証される製品を指します。
この基準には、農薬や遺伝子組み換え技術の不使用、持続可能な農業方法の採用などが含まれます。
- 100%オーガニック:すべての原料がオーガニックである必要があります。
- 95%以上オーガニック:USDA認証シールが付与されます。
- 70~94%オーガニック:「オーガニック原料使用」と記載可能ですが、認証シールは付与されません。
課題
オーガニックフードには以下のような課題があります。
- 基準が統一されていない
- 犬や猫にはビタミンやミネラルの添加が不可欠であり、100%オーガニックの総合栄養食は存在しない
- 保存料の制約や製造過程の制限により、汚染や酸化リスクが高まる可能性があります。
- 消費者が「オーガニック=安全・健康」と誤解することが多い
- オーガニック表示は加工工程を指すものであり、安全性や栄養価を保証するものではない
ナチュラルフードとは
AAFCO(米国飼料検査官協会)はナチュラルフードを「人工的成分を含まず、GMP(適正製造基準)に基づいて加工された食品」と定義しています。
一方で、FDA(食品医薬品局)はナチュラルの定義が曖昧であることを認めており、法的規制は存在しません。
オーガニックやナチュラル以外にも近年では様々な表現が乱立し、ペットの為に開発された製品というよりも利益を追求するための販売手法のような印象が強くなっています。
課題
ナチュラルフードには以下のような課題があります。
- 「ナチュラル=安全・高栄養価・健康的」という幻想が広がりやすい。
- 添加物や保存料が少ないため、保存期間や品質維持に課題がある。
- 「ナチュラル」と表記されていても、科学的安全性が十分に証明されていないケースが存在する。
参考文献:ナチュラル・オーガニックフードの誤解
飼い主に対して獣医師がサポートできること
飼い主が最も信頼している専門家は獣医師ではないでしょうか。
困った時は、獣医師に相談するといったセーフティーネットの役割を担っています。
例えば、今回紹介したオーガニックフードは、必ずしもペットにとって最適ではないこと、ナチュラルフードは、「ナチュラル」という言葉は加工工程の指標であり、品質や栄養価を保証するものではありません。
また、インターネットやメディアの情報が必ずしも正確ではなく、正しい情報は個体や健康状態によっても変化するため、ペットにとって最善の選択は食事などに詳しい獣医師に相談することです。
まとめ
ペットの食事は多様化しており、誤解や課題も増えています。
食事は健康に影響を与えるため、万が一ペットフードの影響で体に異常が起きた場合、対応するのは獣医師となります。
しかし、獣医師は医療が本業であり、日々増加するペットフードの製品を全て把握している訳ではありません。
ペットの健康を守るため、ペットの製品を扱う企業は、その特性を理解した上で製品を開発する責任があり、飼い主は製品を選択する際は、正しい情報を収集してから購入することが求められます。
飼い主は、もし困ったことや悩みがあれば遠慮せずに食事などに詳しい獣医師に相談することをお勧めします。
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獣医師:丸田 香緒里
◆丸田 香緒里 プロフィール
日本大学卒。動物病院勤務後、「人も動物も幸せな生活が送れるためのサポート」をモットーにAnimal Life Partner設立。ペット栄養管理士、ホリスティックケア・カウンセラー、メンタルケアカウンセラーなどの資格を生かし、病院での診療や往診のほかに、セミナー講師やカウンセリング、企業顧問、製品開発など活動は多岐にわたる。
HP:http://animallifepartner.com/