【獣医師監修】犬の歯周病について解説！毎日歯磨きをしよう
歯周病は、進行すると非常に深刻な問題となります。
初期段階では、歯肉炎と呼ばれる状態が見られます。これは歯と歯茎の間に細菌が入り込み、炎症を引き起こす段階です。この段階で適切なケアを行わないと、歯周ポケットが深くなり、歯を支える骨が破壊され始めます。
進行すると、歯肉が後退し、歯がぐらぐらするようになります。最終的には歯が抜け落ちることもあります。また、歯周病が進行することで、細菌が血流に乗って全身に広がり、心臓や肝臓、腎臓などの臓器に影響を及ぼすこともあります。これにより、全身の健康にも重大な影響を与える可能性があります。
歯周病になる原因
犬に歯周病が多い理由はいくつかあります。まず、犬は人間よりも口の中のpHがアルカリ性であるため、歯垢が形成されやすく、細菌が増殖しやすい環境にあります。さらに、犬の唾液には歯垢を溶かす成分が少なく、歯垢が石灰化して歯石となるまでの時間が短いため、歯周病のリスクが高まります。
また、犬の歯磨き習慣が不十分であることも大きな要因です。多くの飼い主が犬の歯を定期的に磨かないため、歯垢が蓄積し、歯周病が進行します。犬種によっては歯並びが悪く、歯垢がたまりやすいということもあります。特に小型犬は顎が小さいため、歯が密集しており、歯垢がたまりやすいと言われています。
歯周病の症状
犬の歯周病の主な症状としては、以下のようなものがあります。
1. 口臭
2. 歯肉の赤みや腫れ
3. 歯のぐらつき
4. 食欲不振
5. 歯茎からの出血
6. よだれの増加
これらの症状が見られた場合は、早急に獣医師の診察を受けることが重要です。早期発見と早期治療が、歯周病の進行を食い止める鍵となります。
治療法
歯周病の治療法は、進行度によって異なります。初期段階では、歯垢や歯石を除去するための歯科クリーニングが行われます。これには、スケーリングと呼ばれる処置が含まれます。これにより、歯周ポケット内の細菌を取り除き、歯茎の健康を取り戻すことができます。
進行した歯周病の場合、外科的な処置が必要になることがあります。例えば、歯周ポケットが深くなりすぎた場合には、フラップ手術と呼ばれる手術が行われることがあります。これは、歯茎を切開し、内部を清掃してから縫合する手術です。
また、場合によっては抜歯が必要になることもあります。これは、歯周病が進行しすぎて、歯を保持することが困難な場合に行われます。
治療費
歯周病の治療費は、処置の内容や地域によって異なりますが、一般的には数千円から数万円程度かかることが多いです。初期の歯科クリーニングのみであれば比較的安価で済みますが、外科的な処置や長期間の治療が必要な場合は、費用も高くなります。
通院頻度については、初期段階の治療であれば1回の処置で済むことが多いですが、進行した歯周病の場合は複数回の通院が必要となることがあります。また、治療後も定期的なチェックとクリーニングが推奨されます。これは、再発を防ぐためにも重要です。
歯をケアして歯周病を予防
歯周病を予防するためには、日常的な歯のケアが欠かせません。以下に効果的な予防法を紹介します。
定期的な歯磨き：毎日の歯磨きが最も重要です。犬用の歯ブラシと歯磨き粉を使用し、少なくとも週に数回は歯を磨くようにしましょう。
歯科用ガムやおもちゃ：噛むことで歯垢を取り除く効果があるガムやおもちゃを活用しましょう。これにより、歯垢の蓄積を防ぐことができます。
定期的な獣医師のチェック：定期的に獣医師による歯科チェックを受けることで、早期発見と早期治療が可能になります。
適切な食事：歯の健康に配慮したフードを選ぶことも重要です。硬めのフードは歯垢の蓄積を防ぐ効果があります。
まとめ
犬の歯周病は放置すると深刻な問題を引き起こすことがあります。
しかし、日常的なケアと定期的なチェックを行うことで、予防することが可能です。
犬の健康を守るためにも、飼い主としてしっかりとした歯のケアを心がけましょう。
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獣医師：丸田 香緒里
◆丸田 香緒里 プロフィール
日本大学卒。動物病院勤務後、「人も動物も幸せな生活が送れるためのサポート」をモットーにAnimal Life Partner設立。ペット栄養管理士、ホリスティックケア・カウンセラー、メンタルケアカウンセラーなどの資格を生かし、病院での診療や往診のほかに、セミナー講師やカウンセリング、企業顧問、製品開発など活動は多岐にわたる。
HP：http://animallifepartner.com/
