【獣医師監修】薬の飲ませ方・猫編
前回は犬の薬の飲ませ方についてお話しましたが、今回は猫編です。猫ちゃんならではのコツやポイントもありますので参考にしてみて下さい。
投薬の前に
- 可能であれば爪を切っておきましょう。嫌がった拍子に爪が刺さるととても痛いです。
- 人が飲ませてあげる場合、テーブルなど高さのある台の上で行うと比較的やりやすいです。投薬に必要なものは全て傍らに準備してすぐに取れるようにしておきましょう。
- 嫌がって暴れてしまう子やすり抜けて逃げてしまう子は、洗濯ネットに入れて首だけ出したり、バスタオルで体を包んでから行うと良い場合があります。一人で無理はせず、押さえる人と投薬する人を分けてもいいですね。
お口を開けて飲ませる方法(錠剤、カプセルなど)
1.猫ちゃんを台の上などに乗せ、利き手の方に頭がくるように座らせます。利き手と反対の手で頭を持ちます。(手の平は耳を包み込むように、親指と中指、薬指の腹で頬骨のでっぱりを持つ形です。)
2.そのまま頭は少し上を向くようにし、利き手の人差し指と親指で薬をつまんで持ち中指で下顎の切歯を押し下げます。お口が開いたら喉の奥に人差し指で薬を入れ込みます。舌の手前ではなく喉の奥に入れるのがポイントです。
お口の中に手を入れるのが難しい場合は、なるべく上を向かせた状態で口を開き、喉の奥めがけて薬をポトンと落とすやり方でも可能です。
3.お薬が入ったらすぐに口を閉じ、ゴクンと飲み込むことを確認しましょう。口を閉じたまま、鼻にふっと息を吹きかけたり鼻先に少し水をつけてあげると反射で舌が出ることを利用してゴクンと飲んでくれやすくなります。
4.すぐに口のわきからシリンジでお水を飲ませてあげたら終了です。
シリンジ(注射器)を使う方法(シロップなどの液体薬、粉薬)
液体の薬や、粉薬は水に溶いてシリンジで投薬することができます。
1.「お口を開けて飲ませる方法(錠剤、カプセルなど)1」のやり方を参考に、利き手と反対の手で頭を持ち、利き手で液体薬を吸ったシリンジを持ちます。
2.口角のあたりからシリンジの先を口の奥方向に入れ込み、少しづつシリンジを押して薬を飲ませます。一度にたくさん入れすぎると口のわきから出てしまったりむせてしまうことがあるので注意して下さい。
少量のフードに混ぜる方法(粉薬、小さな錠剤、少量の液体薬)
缶詰やペースト状のフードに薬を混ぜ込み与える方法です。
フードの量は薬が混ぜ込める程度の少量にするのがポイント。食べ残して薬が全量飲めないことを防ぐためです。普段のフードよりは、ご褒美の缶詰などを使う方が、薬に気づかれたときに食事自体を食べなくなってしまうことを防げるため良いと思います。
- 口を開けるのが難しい猫ちゃんは、薬を混ぜた少量のフードを小皿に乗せてそのまま与えましょう。
- お口を開けられる猫ちゃんは1)のやり方を参考にお口を開け、人差し指の先につけた薬入りのフードを上顎になすりつけます。すぐに口を閉じて食べ終わるのを確認しましょう。
※錠剤はペロペロ舐めているうちにより分けてしまうこともあるので、苦くなく、砕いても良い薬であれば乳鉢かスプーンの裏などで粉状にして混ぜ込むのもひとつです。
投薬用のおやつを使う方法(錠剤、粉薬)
薬を包み込める形状のおやつや、中に薬を入れ込むことができる穴が開いたタイプのもの、ペースト状のおやつなど、投薬に使える様々なおやつが市販されています。前者2つは錠剤、ペースト状のものは粉薬を混ぜ込むのに向いています。薬の形状や猫ちゃんの好みによって使い分けることでストレスなく投薬することができます。
最後に
猫ちゃんは非常に警戒心が強く、投薬も苦労することが多いですが、出来そうな方法から試していただければと思います。
また、日ごろからお口を開けたり口の中を触る練習をしておくといざという時に役立ちます。薬によっては注射で長い効果の得られるものや、他の選択肢をご提案できる場合があるので、投薬が難しい場合は早めに動物病院にご相談ください。
獣医師:丸田 香緒里
◆丸田 香緒里 プロフィール
日本大学卒。動物病院勤務後、「人も動物も幸せな生活が送れるためのサポート」をモットーにAnimal Life Partner設立。ペット栄養管理士、ホリスティックケア・カウンセラー、メンタルケアカウンセラーなどの資格を生かし、病院での診療や往診のほかに、セミナー講師やカウンセリング、企業顧問、製品開発など活動は多岐にわたる。
HP:http://animallifepartner.com/