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【獣医師監修】ペットの免疫について

健康

免疫とは

動物たちの暮らす環境には、ウイルス・細菌・カビ、寄生虫、などの病原体や、花粉・ハウスダストといった異物がたくさん存在します。
免疫はこれらの病原体や異物を、「自分自身でないもの」として認識し排除する役割を担っており、感染症から身を守るための大切なシステムとなっています。また、癌化した細胞や異常を起こした細胞を排除する働きもあるのです。

自然免疫と獲得免疫

免疫には、自然免疫と獲得免疫の2種類があり、これらが互いに作用し合って体を守っています。

自然免疫

体の中に侵入してきた病原体や異物、異常をおこした細胞をいち早く感知し排除するのが自然免疫です。私たちの体に元々備わっている免疫で、異物とみなせば無条件に攻撃をしかけます。

獲得免疫

一方、獲得免疫は自然免疫で食べられた病原体の情報をもとに、それを攻撃する大量の抗体を産生し、より強力なシステムで病原体を排除します。そして一度出会った病原体を記憶し、再侵入してきた時に素早く抗体を作り、その病原体にかかりにくくしたり感染しても軽く済むようになります。ワクチン接種は、この仕組みを利用して、病原体に感染することなく抗体を獲得しているのです。

免疫力を高めるには

ストレス要因を減らす

強いストレスがかかると自律神経が乱れ、免疫細胞の数が減ることが知られています。ストレスを減らすには、落ち着ける生活環境、適切な運動と睡眠、適度なコミュニケーションが大切です。
犬猫は人間よりも長い睡眠時間を必要とするので、人間が活動している時間でもゆっくり休める場所を作ってあげましょう。
ワンちゃんであれば、一日に数回お散歩の時間をとってあげたり家の中でもボールやおもちゃで遊んであげる、猫ちゃんであれば猫じゃらしで遊んであげたり、キャットウォークの設置や窓際に景色を見られる場所を作ってあげたりなど、環境を工夫することで運動やリフレッシュになるでしょう。

食餌

免疫力の維持には腸内環境を整えることも大切です。食べ物と一緒に入ってくる様々な異物に対応するために、腸管にはたくさんの免疫細胞が存在し、その活動には腸内細菌が深く関係します。腸内細菌叢のバランスが良いと免疫細胞が活性化され、効率よく免疫が働いてくれるのです。腸内細菌叢を正常に保つためには、バランスの良い食事を摂りしっかり排便をすることが重要です。
まずは質の良い総合栄養食を中心に与えるのが基本ですが、おやつやトッピングに善玉菌を増やす食材を試してみるのもいいかも知れません。また、獣医師と相談の上、サプリメントを取り入れることもできます。

運動

適度な運動はストレスを軽減し、血流が良くなることで免疫力アップにつながります。前述したように、お散歩や遊びを日常的に取り入れ運動の習慣をつけましょう。
寝たきりなどでお散歩することが出来ない場合は、飼い主さんが手足を曲げ伸ばししてあげる受動的な運動やマッサージでも良いでしょう。また、可能であれば抱っこやカートにのせてお外にお散歩に行く機会を作ることで、体内時計を正常化しリフレッシュにもつながります。

体温を適切に保つ

体温が下がると免疫細胞の働きが低下し免疫力が下がります。特に子犬や子猫、シニア期の子は体温調節がうまくいかず体温が環境の温度に左右されやすいです。また、体力が落ちていたり基礎疾患がある場合も注意が必要です。
部屋の温度は基本的に、人間が心地よいと感じる温度で問題ないですが、低体温になりやすい子はお洋服を着せてあげたり、ペット用のホットカーペットを活用するのもよいでしょう。

最後に

免疫は体が資本ですので、健康診断やワクチン接種など基本的な予防管理も大切です。日常のちょっとした工夫で免疫力を維持し、健康な体づくりをサポートしてあげましょう。

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獣医師:丸田 香緒里

◆丸田 香緒里 プロフィール

日本大学卒。動物病院勤務後、「人も動物も幸せな生活が送れるためのサポート」をモットーにAnimal Life Partner設立。ペット栄養管理士、ホリスティックケア・カウンセラー、メンタルケアカウンセラーなどの資格を生かし、病院での診療や往診のほかに、セミナー講師やカウンセリング、企業顧問、製品開発など活動は多岐にわたる。
HP:http://animallifepartner.com/

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