【獣医師監修】ペットのセカンドオピニオンについて解説
人ではセカンドオピニオンという考えが当たり前になっている昨今ですが、動物ではセカンドオピニオンは受けられるのでしょうか?また、どのように利用すればいいのでしょうか。
今回は動物のセカンドオピニオンの仕組みや、利用する際の流れ、メリット・デメリットについてお話していきます。
セカンドオピニオンとは
本来、セカンドオピニオンとは、現在の主治医を変えずに他の獣医師に診断や治療法について意見を求めることです。
大きな決断に迫られたとき、どうしてもご自身だけの判断では不安になることがあります。
そんな時に、第三者的な立場の専門家の意見を聞くことで、今受けている医療、またはこれから受ける医療に対してより納得した上で方針を決定し、治療に臨んで頂くことが目的となります。
セカンドオピニオンを受ける際の流れ
1.主治医にセカンドオピニオンを受けたい旨を伝える。
2.紹介状や今までの治療の流れや検査結果、画像データなど、提供してもらえる資料があればお願いする。
3.セカンドオピニオンを受け付けている病院を探し、電話などでセカンドオピニオンを受けたい旨を伝え、予約を取る。
※セカンドオピニオンの外来は普通の外来よりも時間がかかることが予想されるため、きちんと枠を予約して来院してもらうことが多いです。その際に、大体の費用なども確認しておくと安心です。
4.セカンドオピニオンで得た意見を持ち帰り、主治医と今後の治療方針を話し合う。
セカンドオピニオンと転院の違い
基本的にセカンドオピニオンは、主治医の同意の上他の獣医師の意見を求めることで、その後は主治医の元に戻り飼い主さんが選択した治療を受けるというのが本来の流れです。しかし、技術や設備の問題、または飼い主様のご希望で主治医の下では治療が受けられない場合は相談先の病院で治療を受けることもあります。
一方、転院は主治医には知らせず病院を変えることです。その場合は病気の経過や検査結果などは飼い主さんのお話やお手持ちの資料だけになり、必要な検査があれば再度行う必要があります。
しかし、実際飼い主さんがセカンドオピニオンを求めたいと思われるケースのなかでは、治療をしてもらっているがあまり良くならず、このままの治療方針でいいのだろうかと疑問がある場合や、日ごろの診察のときに説明不足を感じる、質問すると嫌な顔をされる、など今の主治医に何らかの不満を感じているケースも多いと感じます。
その場合、無理に現在の主治医と連携を取ろうとするのは飼い主さん側の精神的負担が大きく得策ではない場合もあります。
他の病院に新たに意見を求めるとき、もちろん医師からの紹介状があることに越したことはないですが、飼い主さんからの今までの経過のご説明やお持ちの検査結果などからある程度のお話はできますので、必ずしもセカンドオピニオンという形にこだわりすぎなくても大丈夫です。
ただ、二次診療施設や専門病院などに意見を求める場合はやはり紹介状が必要になることが多いので注意が必要です。
セカンドオピニオンのメリット、デメリット
[メリット]
・複数の獣医師に意見を聞くことで病気への理解が深まる。
・治療の選択肢が広がる場合がある。
・主治医と同じ見解が得られれば、より安心して治療を選択することができる。
[デメリット]
・獣医師によって治療方針が食い違うことがあり、違う意見が出た時に飼い主さん側で判断にさらに困ってしまう場合がある。
・セカンドオピニオンを受けることを言い出しづらい。
・費用面で余分にかかる。
・治療の開始が遅れる。
まとめ
今受けている医療についてのご不安や困り事がセカンドオピニオンで解決するものなのか、転院を選んだ方がいいのかはケースによってまちまちです。
まずは主治医から受けた説明を良く理解しご自身で理解を深めた上でどの方法が適しているか選択していただければと思います。
獣医師:丸田 香緒里
◆丸田 香緒里 プロフィール
日本大学卒。動物病院勤務後、「人も動物も幸せな生活が送れるためのサポート」をモットーにAnimal Life Partner設立。ペット栄養管理士、ホリスティックケア・カウンセラー、メンタルケアカウンセラーなどの資格を生かし、病院での診療や往診のほかに、セミナー講師やカウンセリング、企業顧問、製品開発など活動は多岐にわたる。
HP:http://animallifepartner.com/