【獣医師監修】犬のアレルギーについて解説
うちの子が皮膚をかゆがっている、これってアレルギー?と思ったことはありませんか?
今回は、ワンちゃんによくみられるアレルギーの種類、またどんな症状が出るかについてお話していきます。
アレルギーとは
私たちの体には外から入ってくる異物から体を守る免疫機能が備わっています。
この免疫が、ある特定の異物に対して過剰に反応し有害な症状を引き起こすことをアレルギーと呼びます。
アレルギーが関わる病気
■アトピー性皮膚炎
皮膚症状が悪くなったり改善したりを繰り返し、強いかゆみのある湿疹が認められます。
皮膚のバリア機能が低下しており、乾燥しやすい肌を持つのも特徴です。発症は多くは3才以下の若齢です。
[症状の出る部位]
目の周り・耳介・わきの下・お腹・鼠経部・四肢・指の間・首
[症状]
・かゆみを伴う対称性の皮膚の赤み、湿疹、脱毛
・患部を後肢で掻いたり、舐める、噛む、こすりつける
・慢性化すると皮膚が黒ずんだり(色素沈着)、象の皮膚のような分厚くゴワゴワした皮膚がみられる
[治療]
・ステロイドや抗ヒスタミン剤、免疫抑制剤、抗生剤の内服や外用
・シャンプー療法(薬浴)、保湿剤
・減感作療法
・食事療法
など
■食物アレルギー
食物中の特定のたんぱく質に反応して、皮膚のかゆみ、外耳炎、嘔吐や下痢などをおこす病気です。
[症状]
・眼、口、耳の周り、背中、脇の下、お腹、足先や足裏、肛門周囲のかゆみや皮膚炎
・嘔吐や下痢、軟便
[治療]
・食事療法
・消化器症状、皮膚症状に対する対症療法
■外耳炎
外耳炎の原因は複数ありますが、繰り返す外耳炎にはアレルギーが関与していることも多く、アトピーや食物アレルギーの症状としてもよくみられます。
[症状]
・耳の内側の皮膚の赤み、湿疹、ただれ、かゆみ、腫れ
・ベタベタした耳垢
[治療]
・耳洗浄
・塗り薬、点耳薬
・ステロイドや抗生剤などの内服
■ノミアレルギー
体に寄生したノミの唾液にアレルギー反応を起こし、強いかゆみや皮膚炎を起こす病気です。
[症状]
・激しいかゆみを伴う腰背部~しっぽの付け根、大腿部あたりの発疹、脱毛
[治療]
・ノミの駆虫
・かゆみや湿疹に対する内服
・動物の寝床や環境の清掃
■ワクチンアレルギー
ワクチン接種後の副反応の一つで、顔が腫れてしまったり、消化器症状などがみられることがあります。ミニチュアダックスフンントやチワワなどの小型犬で多くみられます。
[症状]
・ワクチン接種後の皮膚のかゆみ
・顔面の腫れ
・嘔吐、下痢
・重症の場合、呼吸困難や血圧低下などのショック症状
[治療]
・ステロイドの注射や内服
・ショックに対しての治療
アレルギーかな?と思ったら
皮膚のかゆみや赤みなど、気になる変化があった場合は動物病院で診察を受けましょう。アレルギー以外の病気でも皮膚炎は起こりますので、他の病気との鑑別も重要です。
アレルギーを持つワンちゃんは、定期的なノミダニ予防や生活環境のお掃除、食事の見直しなど、原因となり得るアレルゲンを少しでも減らす工夫が必要です。
獣医師:丸田 香緒里
◆丸田 香緒里 プロフィール
日本大学卒。動物病院勤務後、「人も動物も幸せな生活が送れるためのサポート」をモットーにAnimal Life Partner設立。ペット栄養管理士、ホリスティックケア・カウンセラー、メンタルケアカウンセラーなどの資格を生かし、病院での診療や往診のほかに、セミナー講師やカウンセリング、企業顧問、製品開発など活動は多岐にわたる。
HP:http://animallifepartner.com/