【獣医師監修】ペットが嘔吐してしまったときの原因と対処法(犬・猫)
飼い犬や猫ちゃんが吐いてしまった時、皆さんはどう対処されるでしょうか?今回は嘔吐がみられたときの対処法や気を付けるポイントなどについてお話します。
1度吐いただけであとはケロッとしている
犬猫ちゃんは病気でなくても吐いてしまうことがあります。例えば、フードを一気に食べてしまい、直後に未消化の形のあるフードを吐いてしまうことがあります。
また、空腹が続きすぎると透明や黄色い液体を吐くことがあります。猫ちゃんですと少量の毛玉がお腹の中にある場合、それを出そうとして毛玉を吐くことがあります。
吐くのは一回のみでその後症状が見られず元気な場合、上記のような理由で吐いたのかも知れません。対策をとり様子をみてみましょう。
嘔吐が続く場合、他に症状がある場合
吐いてしまう原因は多岐に渡ります。何か思い当たる節はないか、元気食欲がない、ぐったりしている、下痢をしているなど吐いてしまう以外の症状がないかよく観察しましょう。
■食事性
フードの成分や形が合わない場合。フードを変えてから吐くようになったときに考えられます。また、保存状態が悪いフードや食べなれない人間の食事を食べてしまったときにも嘔吐がみられることがあります。
■中毒
ネギ科の野菜、チョコレート、観葉植物の一種など身近に中毒を起こすものはたくさんあります。命に関わることもあるので注意が必要です。
■消化器の病気
何らかの原因で胃腸炎を起こし嘔吐が見られることも多いです。下痢が伴う場合もあります。また、大型犬では胃捻転症候群という胃が捻じれてしまう病気があります。
吐きたくても吐けない、お腹が膨れて苦しそうなどの症状があった場合、緊急的に病院にかかる必要があります。
消化器の腫瘍などは慢性的な嘔吐に関わることがあります。
■腎、肝臓の病気
腎不全、肝不全、糖尿病などでも嘔吐がみられることがあります。痩せてきている、飲水量やおしっこの量が増えるなどの症状を伴うことが多いです。
■膵臓の病気
膵臓が炎症を起こす膵炎という病気があります。下痢や腹痛を伴うことがあります。
■肺・心臓の病気
ひどい咳が続く病気では、咳とともに食べたフードを吐いてしまうことがあります。また、咳とともに泡のような赤い液体を吐く場合、肺水腫を起こしている可能性があります。
以上のように、嘔吐が続いたり他の症状が伴う場合は何らかの原因が考えられますので、早めに動物病院を受診し診断・治療を受けることをおすすめします。一日に何度も吐いている、ぐったりしている、吐血しているなどの場合は特に緊急性が高いです。
その際に、
- 吐いたものの内容、量、形状
- 吐く頻度、タイミング
- 元気、食欲の低下、下痢、咳など、嘔吐以外の症状
などが診断の助けになりますので問診の際にお話下さい。また、水を飲んでも吐いてしまう場合は薬をお家で飲ませることが難しく、点滴治療が必要になることもあるので必ずお伝え下さい。
まとめ
お家での食事のケアとしては、吐いてしまった後すぐに食事を与えることは避け、再度吐いてしまわないか様子をみましょう。
ある程度時間が経ち食欲があるようなら少量からフードを試し、問題がなければその後少しずつ量を増やしていきましょう。はじめは少量を何回かに分けて、症状が落ち着いてこれば少しずつ普段の食事の量や回数に戻してみて下さい。
消化の良いフードに変えたり、ドライであればふやかしてあげる工夫も効果的です。
処方されたお薬を飲んでいても頻回に吐いてしまう、食欲がない、水も飲まない場合は入院治療が必要になることもあるので、早めに病院に相談しましょう。
【獣医師監修】ペットがご飯を食べない・水を飲まないときの原因と対処法(犬・猫)
獣医師:丸田 香緒里
◆丸田 香緒里 プロフィール
日本大学卒。動物病院勤務後、「人も動物も幸せな生活が送れるためのサポート」をモットーにAnimal Life Partner設立。ペット栄養管理士、ホリスティックケア・カウンセラー、メンタルケアカウンセラーなどの資格を生かし、病院での診療や往診のほかに、セミナー講師やカウンセリング、企業顧問、製品開発など活動は多岐にわたる。
HP:http://animallifepartner.com/