【獣医師監修】犬と猫の血尿の原因と対処方法
犬と猫の血尿の原因と対処方法
冬になり、体調を崩す犬猫ちゃんも多いのではないでしょうか。
そんな時期に多い症状の一つとして今回は血尿についてお話します。
血尿の原因
血尿とはおしっこに血が混じる状態のことを言います。全体的に薄赤から赤色の血尿もあれば、普通の尿の一部に血が混じっていることもあります。
おしっこは、腎臓で作られ尿管という細い管を通り膀胱に溜まった後、尿道を通って体の外へ排泄されます。
これらの通り道を「尿路」と呼びますが、血尿は①尿路のどこかに炎症や結石、腫瘍など、出血を起こすような異常があることで起こります。
また尿路以外にも、②子宮や前立腺など生殖器と呼ばれるところからの出血が尿と混ざって血尿になる場合があります。
尿路の病気
■膀胱炎
血尿の原因でとても多くみられ、細菌の感染や結石などができることで膀胱の粘膜に炎症が起きている状態です。
おしっこに血が混じる、何度もおしっこに行くが少ししか出ない(頻尿)、排尿後も排尿姿勢をとりつづける、などの症状がみられます。痛みにより排尿時に鳴いたりすることもあります。
■尿路結石
腎臓、尿管、膀胱、尿道に結石ができる病気です。尿の中のミネラル分が尿の性質の変化により、固まって結石となり留まってしまうのです。
症状としては結石ができる場所により異なりますが、血尿、頻尿、いつもとちがう場所での排尿などがみられることがあります。
何度もトイレに行くのにほとんど尿が出ない、吐く、ぐったりしているなどの症状があれば、結石が尿道に詰まっておしっこがでない尿道閉塞を起こしている可能性があり、尿道が狭い男の子の犬猫で多いです。その場合は命に関わる場合がありとても緊急性が高いのですぐに動物病院へ連れて行きましょう。
■腎盂腎炎
膀胱炎などの細菌感染が腎臓にも広がって炎症が起きている状態です。血尿の他に発熱、嘔吐下痢などの消化器症状、元気食欲の低下などが見られます。
■膀胱腫瘍
膀胱にできる癌で、移行上皮癌という悪性の癌が多くを占めます。診断は、尿検査だけではなく膀胱造影検査、超音波検査などが必要になってきます。
生殖器の病気
■子宮蓄膿症
避妊手術をしていない女の子の犬猫で見られ、主に中高齢で発症します。細菌感染を起こした子宮の中に膿が溜まり、陰部からの排膿や出血がみられます。
進行すると、たくさん水を飲みおしっこの量が増えたり、元気食欲がなくなったり全身症状もみられるようになります。そのままにしていると命に関わることもある病気なので注意が必要です。
■前立腺の病気
前立腺は雄だけにある副生殖腺で、膀胱の出口で尿道を取り囲むように存在します。前立腺肥大、前立腺炎、前立腺癌などの病気で血尿がみられることがあります。
血尿がみられたときの対処法
血尿がみられたときは、犬の発情出血以外は上記のように泌尿器や生殖器などの病気が考えられますので、動物病院を受診して適切な治療を受けましょう。
その際には血尿の状態がわかるように、実際に排尿したペットシーツや写真などがあると分かりやすいと思います。
また、頻尿やしぶりなど排尿時の変化や、元気・食欲の低下がある場合も必ず獣医師に伝えましょう。
血尿は見た目の問題だけではなく、痛みや不快感を感じていることが多いですので、早めに異常に気付き、早期に治療を開始してあげることがカギになります。そのために、日々の排尿チェックはとても大切です。普段から排尿の色、量、回数などについて飼い主さんが把握し、変化にすぐに気付いてあげられるようにしましょう。
獣医師:丸田 香緒里
◆丸田 香緒里 プロフィール
日本大学卒。動物病院勤務後、「人も動物も幸せな生活が送れるためのサポート」をモットーにAnimal Life Partner設立。ペット栄養管理士、ホリスティックケア・カウンセラー、メンタルケアカウンセラーなどの資格を生かし、病院での診療や往診のほかに、セミナー講師やカウンセリング、企業顧問、製品開発など活動は多岐にわたる。
HP:http://animallifepartner.com/