【獣医師監修】ペットが耳を痒がる・かいている・耳が赤いときの対処法
気温が高くなってくると増えてくる症状の一つとして皮膚のかゆみがあります。その中でも今回は、耳のかゆみについてお話していきます。
わんちゃんや猫ちゃんが、しきりに後ろ足で耳をかいていたり、耳の中が赤くなっていたり、耳のにおいがツンときつくなったりすることで、飼い主さんが耳の異常に気付かれることも多いと思います。
耳をめくってみると黄色や黒茶の耳垢がべったりついていたり、耳の中が真っ赤になって皮膚が腫れていたりすることがあります。
この様な症状が認められるときは外耳炎という耳の病気になっています。
外耳炎とは、耳の穴の外側の部分(耳介)から外耳道と呼ばれる耳の入り口から鼓膜までの通り道に炎症がある状態を指します。
耳を痒がる・かいている・耳が赤いときの原因
アレルギー/アトピー
体質的に皮膚バリアが弱く、アレルゲンへの過剰反応が起こるアレルギーやアトピー性皮膚炎がある子は外耳炎も起こしやすいです。
アレルゲンとしては、ハウスダストやノミ、ダニなどの環境中にあるものや、特定の食べ物に反応する場合もあります。(食物アレルギー)
異物
草の種や自分の毛が耳の奥に入ってしまうと、それが刺激となり炎症が起こることがあります。症状としては、外耳炎の症状に加え頭を振ったり、異物がある方の耳を下に傾けたりすることがあります。
犬の耳道は長く折れ曲がっているので、診断・治療には耳の内視鏡が必要なこともあります。
寄生虫
ミミヒゼンダニ、ニキビダニなどの感染によって起こる外耳炎もあります。ミミヒゼンダニ(耳疥癬、耳ダニ)の感染では、黒い耳垢が多く出ることが特徴で非常に強いかゆみを伴います。
ホルモン異常
甲状腺機能低下症や性ホルモンの異常などにより、皮膚のターンオーバーがうまくいかなくなり、それが外耳炎の原因になることがあります。
外耳炎の症状の他に、脱毛や多飲多尿、元気の低下など全身症状が認められることもあります。
耳の構造的な問題
耳介が垂れ下がっていたり、耳道が狭く折れ曲がっている種類の犬猫では、耳の通気性が悪く外耳炎になりやすいです。
以上の原因に加え、細菌感染やマラセチア(酵母菌)の感染などが外耳炎の悪化要素となります。
症状が慢性化してくると、耳道の皮膚が腫れて狭くなりさらに外耳炎が治りにくくなってしまいます。
治療
専用の洗浄液を使って外耳の洗浄をしてから点耳薬を垂らしたり、塗り薬を塗ったりすることが治療の基本となります。
炎症や耳道の腫れがひどい場合などは飲み薬を併用することもあります。また、根本の原因となる基礎疾患がある場合はその治療も並行して行っていく必要があります。おうちでの耳のお掃除は動物病院の指示を仰ぎましょう。
お掃除のやりすぎは炎症を悪化させてしまったり、綿棒で異物や汚れを奥に押し込んでしまう可能性もあります。また、アレルギーの子はハウスダストやダニ、食べ物などに反応して外耳炎を繰り返すことがあります。
まとめ
定期的なノミダニ予防や生活環境の掃除、食事などを今一度見直してみましょう。
特に、おやつや人間の食べ物を与えている場合は獣医さんと相談してあげるものを決めていきましょう。
獣医師:丸田 香緒里
◆丸田 香緒里 プロフィール
日本大学卒。動物病院勤務後、「人も動物も幸せな生活が送れるためのサポート」をモットーにAnimal Life Partner設立。ペット栄養管理士、ホリスティックケア・カウンセラー、メンタルケアカウンセラーなどの資格を生かし、病院での診療や往診のほかに、セミナー講師やカウンセリング、企業顧問、製品開発など活動は多岐にわたる。
HP:http://animallifepartner.com/