【獣医師監修】涙が出る・目やにが出る時の対処方法
今回は犬猫の目の症状としてもよく見られる、涙が出る・目やにが出る時の原因と対処法についてお話します。
涙が出る・目やにが出る時の対処方法
涙が出る
涙が出る症状は流涙症と呼ばれ、いつも涙目になっている、目のまわりが涙で濡れていたり、涙やけをおこして気付くことも多いかと思います。
涙は、目尻側にある涙腺から分泌され、目の表面の保護や栄養補給、異物を洗い流すなどの役割をしています。そして、ほこりなどとともに目尻側にある涙点(涙の出口)から鼻涙管を通って鼻腔に流れていくという経路をたどります。
流涙症は、何らかの刺激で涙の分泌量が増える、もしくは涙の排泄される管の障害により起こります。
流涙症の原因としては、
(分泌量の増加)
- 異物;ゴミや煙などの外部刺激
- 逆さまつげ、眼瞼内反症;生まれつきの眼瞼周囲の構造異常
- アレルギー;アレルギー性結膜炎など
- 角膜疾患;角膜びらん、角膜潰瘍など目の表面の傷
- 眼疾患;緑内障、ブドウ膜炎など
- 眼周囲の組織からの刺激;歯牙疾患など
(排泄量の低下)
・鼻涙管閉塞;先天的な構造異常、またはウイルス、細菌感染、腫瘍など後天的なもの。
などがあります。
動物病院では症状に応じて、涙の量の検査、角膜の傷の検査、眼科検査などを行い総合的に判断していきます。
目やにが出る
目やには、涙に含まれるムチンという物質が、目の表面の不要なものをからめとってできたもので、寝起きに白やグレーっぽい、もしくは黒茶の少量の目やにがあるくらいであれば生理現象の範囲内で心配ないことが多いですが、量が増えてきたり、目やにが黄色や緑色である場合や、目をしぱしぱする、かゆがる、結膜や白目の充血があるなど目やに以外の症状がある場合は注意が必要です。
目やにの原因としては、
- ウイルス・細菌感染
- 角膜疾患 ―角膜びらんや潰瘍
- 異物
- 逆さまつ毛や眼瞼内反症など
- アレルギー
- ドライアイ
- 流涙症
などがあります。
まとめ
診断は、目やにの原因となる目や眼周囲の異常がないか、全身状態と合わせて判断し、必要であれば検査を行います。
以上のように、一言で涙が出る、目やにが出るといっても様々な原因があります。対処法は、それぞれの疾患毎に異なりますので、まずは動物病院でしっかりと診断を受け、それに応じた治療を行っていくことが重要になります。
お家でのケアとしては、柔らかい布や濡らしたコットンなどでこまめに涙や目やにをふきとってあげましょう。
あまり症状がひどくない場合、それだけですぐに病院にかかることはためらわれることもあると思います。
しかし、放っておくと症状が悪化したり、その他の症状が出てきてしまったりすることもあるので、日ごろから気軽に相談できるかかりつけの動物病院をもっておくと安心ですね。
獣医師:丸田 香緒里
◆丸田 香緒里 プロフィール
日本大学卒。動物病院勤務後、「人も動物も幸せな生活が送れるためのサポート」をモットーにAnimal Life Partner設立。ペット栄養管理士、ホリスティックケア・カウンセラー、メンタルケアカウンセラーなどの資格を生かし、病院での診療や往診のほかに、セミナー講師やカウンセリング、企業顧問、製品開発など活動は多岐にわたる。
HP:http://animallifepartner.com/