ワンちゃんを飼い始めたら!登録と狂犬病予防注射
登録と狂犬病予防注射
狂犬病予防注射のお知らせが届く時期になりました。
犬を飼った経験のある方ならお馴染みの予防接種ですが、毎年居住する自治体からお知らせが届き、市区町村が行う集団予防接種か動物病院で接種を行わなくてはなりません。犬を飼い始めたら必ず行う飼い犬登録や狂犬病予防接種ですが、これが法律で定められているとは知らない方も多くいます。
今一度、飼い主として知っておくべき「犬の登録」と「狂犬病予防注射」についてお話してみたいと思います。
知っておこう!「飼い主の義務」
ワンちゃんを家族に迎えた飼い主さんが知っておくべき法律はいくつかありますが、主には厚生労働省が定める「狂犬病予防法」と環境省が定める「動物の愛護及び管理に関する法律」の2つがあります。今日は狂犬病予防法についてまとめてみますが、飼い主に定められた「義務」は3つあります。
1.居住している市区町村で飼い主の登録をすること(一生に1度)
→引っ越しをしたら、移転先での登録が必要です。
2.飼い犬に年1回の狂犬病予防注射を受けさせること(一年に1度)
3.犬鑑札と注射済証を飼い犬に装着すること
4.このほかに居住地で決められた条例などもあるので確認が必要です。
「1」は「飼い犬登録」です。生後91日以上のワンちゃんを飼い始めたら、迎えてから30日以内に必ず犬を飼ったことを登録する必要があります。この登録は生涯に1回です(引っ越した場合は、引っ越し先の市区町村に届け出が必要になります)。鑑札は生涯に1つ受け取ります。※無くした場合は再発行も可能です。
「2」は年に1回、毎年行わなくてはならない「狂犬病予防注射」です。「注射済証」と記された鑑札は赤・青・黄色のローテーションで、接種後に発行されるので毎年1頭に1つ発行されます。
日本は「狂犬病がない国」ではなく、「狂犬病清浄国」です。ひと昔前は日本でも犬に咬まれて発症することがあり、感染後に発症すると治療法はなく、高い致死率となりました。世界ではいまでも蔓延している国は多く、ここ数年、日本人が海外で犬に咬まれて感染し、帰国後に発症して死亡するというケースが数例発生しています。近隣のアジア各国でも発症例が多くあるため、日本に入ってくる可能性は0ではなく、狂犬病発生と蔓延を防止するために飼育されているワンちゃんには予防接種が義務付けられています。
「3」は上記の登録鑑札と注射済証を愛犬に装着することが義務付けるというものです。
サロンやドッグラン、ペットホテルなどで提示を求められることがあると思いますが、ある意味「飼い主としての義務を果たしているか?」ということを確認する意味もあります。
ただ、紛失やワンちゃんが噛んで壊してしまうことを心配し、首輪やリードへの装着を戸惑う飼い主さんもいるため、コピーやスマホに写真として保存して持ち歩くことをオススメしています。災害時の避難先でも提出を求められるので、パウチなどして水濡れ対策をしておくと便利です。
また、狂犬病の接種証明や注射済証は毎年変わるため、古い鑑札や証明が手元にあると、どれが最新かわからなくなってしまいます。新しい証明や鑑札が届いたら、古いものは破棄しておきましょう。
狂犬病予防接種の接種率
法律で義務付けられている狂犬病予防接種ですが、なんと、接種率は100%ではありません。
厚生労働省が発表している「都道府県別の犬の登録数と狂犬病予防注射頭数」という統計があります。
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou10/01.html
これによると、接種率の低い都道府県では60%台、高い地域でも90%程度となっていて、全国平均でも令和元年度は71.3%です。100%ではないということは、万が一、海外から狂犬病に感染した犬が輸入されたり、なんらかの哺乳類が狂犬病の病原体を保有していたという事態から、再び日本で愛犬が狂犬病に感染するリスクが考えられます。
飼い主の意識で予防できる狂犬病を日本で広めないため、すべてのワンちゃんに接種が必要であり、病気や高齢で接種できないワンちゃんは獣医師から「猶予証明書」を発行してもらう必要があります。飼い主の判断で接種しないということではありません。
愛犬と一緒に学んでいこう
狂犬病接種の証明を求められたとき「打ってるけど、今日は持っていない」「家にある」という飼い主さんも多くいますが、それは法律違反ということになります。ときどき、混合ワクチンと狂犬病の証明を間違える飼い主さんもいます。
犬と暮らす飼い主として最低限知っておかなければいけないことはしつけ以外にもたくさんありますが、ペットを購入する時にそこまで教えてくれません。
飼い犬登録をするときに渡される「愛犬手帳」などにも書かれているので、必ず良く読んで、犬と暮らす飼い主の責任について、知る努力も必要です。
愛犬にしつけとしていろいろなことを学ばせると思いますが、同じように飼い主としても愛犬のために必要な知識を増やしていくことが大切ですね。
ライター:今井由江