【獣医師監修】老猫(シニア猫)の病気の種類と症状、重要な確認ポイント
病気の種類
猫の平均寿命は約16歳。動物病院でも20歳を超えている子を見かけるようになりました。
健康で長生きしているこのお家は、ちょっとした体調の変化に気付き、早期治療をしている方が多い印象です。
どのような病気になりやすいのか、その病気はどのような症状が出てくるのか解説していきます。
◆腎臓病
腎臓は体内にある必要な水分を体に保持したり、体内の老廃物を排泄する機能を持っています。そのため、機能が衰えると体が脱水し、体内の老廃物がうまく排泄できなくなります。
初期症状ではお水をたくさん飲む、尿をたくさんする、薄い尿をするといった症状がありますが、病気が進んでくると、食欲不振や吐き気、貧血などが見られます。
腎臓は一旦悪くなると元に戻すことはできませんが、薬を飲むことで進行を抑えたり、尿として排泄できなかった老廃物を便として出すことができます。
飲水量が増えたり尿の色が薄くなってきた場合には要注意。
まずは新鮮な尿を液体の状態で持って動物病院に相談に行きましょう。
◆甲状腺機能亢進症
甲状腺は喉の気管表面に付着している内分泌器官で、代謝をコントロールしています。
この甲状腺が肥大したり、腫瘍化することで、甲状腺ホルモンが過剰に分泌され、代謝が活発になります。
その結果、症状としては
- ご飯を食べているのに痩せてくる
- 年齢の割には元気(にゃーにゃーよく鳴く)
- 怒りやすい
- 水をよく飲み、尿をたくさんする
といった症状が出てきます。
これらの症状に一つでも当てはまる場合には、早めに動物病院に相談に行きましょう。
血液検査で甲状腺ホルモンの濃度を測定することで、診断することができます。
◆リンパ腫
リンパ腫はリンパ球が腫瘍化した状態で、全身のリンパ節が腫れてきます。
早期にできる場所によって、発見されるタイミングは異なり、下顎や膝窩(ヒザの裏)のリンパ節が腫れた場合には比較的見つけやすいですが、腹腔内や、胸腔に出来た場合には食欲不振や、呼吸困難といった症状が出て初めて発見されることがほとんどです。
食欲不振、元気消失、今までよりも抱いた時に重く感じる(腹水などの貯留による)が見られる場合には早めに動物病院へ相談に行きましょう。
リンパ腫は腫瘍なので、確定的な原因はありませんが、飼い主様の喫煙や、猫白血病ウイルスの関係が疑われています。
白血病ウイルスを体内に持っていないかどうかは、血液検査にて調べることができます。また、咬傷によって感染するため、ウイルス感染している猫と触れ合わないようにしましょう。
最後に
高齢なネコにとって、しっかりと食事を摂れていること、飲水量と尿量の変化はとても重要な確認ポイントです。
日ごろから変化がないかどうかチェックするようにしてくださいね。
獣医師:丸田 香緒里
◆丸田 香緒里 プロフィール
日本大学卒。動物病院勤務後、「人も動物も幸せな生活が送れるためのサポート」をモットーにAnimal Life Partner設立。ペット栄養管理士、ホリスティックケア・カウンセラー、メンタルケアカウンセラーなどの資格を生かし、病院での診療や往診のほかに、セミナー講師やカウンセリング、企業顧問、製品開発など活動は多岐にわたる。
HP:http://animallifepartner.com/