ウンチを食べちゃう⁉食糞のお悩み対処法
愛犬相談会のとき、必ず数件の相談がある「食糞」。
とくに1歳未満の子犬に多い相談ですが、「すぐ片付け、防止スプレーを使ってみても、いつまでたっても治らない」と困り顔の飼い主さんもいます。
なぜわんちゃんは食糞をやめられないのでしょう。
食べてしまう理由と解決策を探ってみました。
ウンチを食べてしまう理由
ワンちゃんの食糞にはいくつかの理由があげられます。人にとっては不快なウンチですが、ワンちゃんにとっては「汚い物」という認識は少し低いようです。そしてウンチは排泄物というよりは別のものに見えてしまうこともあるようです。
[理由1:寂しさを紛らわせる]
お留守番や飼い主さんの多忙で退屈して寂しい時、オモチャにしているうちに食べてしまうことがあります。また、ウンチを食べた時に飼い主さんが騒ぐと「自分に関心をもってもらえる」と勘違いして、わざと食べることがあります。この場合は、飼い主さんが見ている時に食べるケースが多いです。
[理由2:叱られないようにする]
トイレ以外でウンチをした時、飼い主さんが大きな声で騒いだり叱られた経験があるワンちゃんは「ウンチをすること=いけないこと」と勘違いし、叱られないように証拠隠滅として食べてしまうことがあります。
[理由3:ご飯が足りない]
フード袋に書かれた適正量を与えていたとしても、個体差や運動量によって、ご飯の量や必要なエネルギーは違ってきます。ごはん量が足りないと、食欲を満たすためにウンチを食べてしまうことがあります。
[理由4:酵素が足りない]
人も消化には様々な「酵素」が必要ですが、ワンちゃんも同様です。ただ、ドッグフードなどは過熱処理によって「酵素」の含有量が少ないことがあります。とくに子犬は消化器官が未発達で、未消化の食べ物の匂いがウンチに残ってしまうことがあります。また、大人でも酵素が足りないと消化不良を起こし、未消化のフードの匂いや栄養分が残っているウンチを食べ物として食べてしまうことがあります。この場合、しっかり食べているように見えても栄養がきちんと吸収されず、腸内環境の乱れで体調を崩すこともあります。
食糞を改善する対処法
困った食糞を治す方法として、まずは原因をしっかり確認することが大切です。飼い主さんの誤った行動によってワンちゃんが勘違いしている場合は、飼い主さんも気を付けながら対処します。
また、体重は適正で体型的にもご飯が足りている場合は腸内環境を整えることを考えてみましょう。
[理由1・2の対処法:勘違いをなおす]
今までを振り返って、「叱ってしまった、騒いでしまった」という経験がある場合は、ウンチをすることはいけない事ではないとワンちゃんの認識を変えていきます。
注意関心がほかにいきやすい外の散歩の際は、ウンチをしたら静かな声で「よくできたね、エライね」と褒めながら素早く片付けます。室内でも同様に正しい場所でウンチをした場合は褒めながら素早く片付けます。間違った場所でウンチをした時は、何も言わずに静かに素早く片付けて、片付けたウンチを見せながら「食べなかったね、いい子だね」とウンチを食べなかったことを褒めます。
ポイントは「静かに褒めること」と「ウンチを食べないことが良い事」と教えます。この時、大きな声で「すごいね!いい子だね!!」と褒めると、ワンちゃんのテンションが上がってしまい「ウンチ=遊び」と別の勘違いになってしまうので、興奮させないようにしましょう。
[理由3の対処法:食事量を見直す]
パッケージに書かれた年齢や体重の適正量は目安です。散歩の回数や時間などの運動量と個体の大きさにも差がでますので、場合によっては獣医さんに相談しながら適正量を確認していきましょう。
もし適正量でも食事が足りない様子があれば、食事の量を変えずに1/2ずつ2回与えるというように、回数を増やして満足度を上げます。細かく刻んで軽く茹でたキャベツや大根やキュウリなど、消化に優しい野菜で食事量を増やして満腹感をあげることもできます。時間がない場合は、少し水でフードをふやかすだけでもかさ増しできます。
(注)野菜を与える場合は、少しずつお腹の調子を見ながら混ぜていきます。
[理由4の対処法:酵素が足りない]
食事量も足りていて、思い当たる行動もない場合は、腸内環境を整えます。消化酵素は体内でも作られますが、働きを助けるために取り込む食物酵素を食べ物やサプリメントで補い、乳酸菌やビフィズス菌を増やして腸内の善玉菌を増やします。
消化を助ける野菜は大根やスプラウト(ブロッコリーの新芽)、トマト、キュウリなどがあります。ただ、ワンちゃんは野菜の消化が得意ではないので軽く茹でて与えます。少量から試していきましょう。
正しい消化で元気な体つくり
人もワンちゃんも細胞や体はすべて食べたものでつくられます。しっかり消化して栄養にすれば、食糞も治るはずです。
食事と腸内環境、さらに日々の関わりを考えながら食糞を治していきましょう!
ライター:今井 由江