寒さは要注意!隠れている泌尿器トラブルと腎臓病
寒さは要注意!隠れている泌尿器トラブルと腎臓病
日に日に寒さが増してきました。最強寒波や雪の便りを聞くと、お散歩も控えたくなりますね。
人と同じように外に出たがらないわんちゃんやホットカーペットから離れない猫ちゃんなど、寒さが苦手なペット達は多いようです。
こんな時に静かに進行する病気が泌尿器系のトラブルで、とくに「腎臓病」には注意が必要です。
なぜ冬になると泌尿器系のトラブルが増えるのか、その理由と対策を考えてみます。
冬になるとペット達もトイレの回数が減る
1日の日照時間が短くなる冬は、わんちゃんの散歩時間も短くなります。さらに、飼い主さんも寒さに負けて「お散歩はお休みね」なんて日もあるのではないでしょうか。
猫ちゃんはストーブやホットカーペットから離れず、ぬくぬくと暖まっている時間が増えます。
どちらにしても、動く時間が短くなることで自然と水分を取る回数が減り、それに伴ってトイレの回数も減ってしまいます。膀胱にたまったオシッコは濃度が濃くなり、膀胱炎や尿石症を引き起こしやすくなる傾向があります。
■尿石症の症状
尿道・尿管や膀胱などの泌尿器に石の結晶や結石ができる病気です。オシッコが出せなくなると死に至ることもある危険な病気です。
〇トイレに行く回数が頻繁になる
〇トイレをする体勢になるが、オシッコが出ない
〇血尿が出る
〇キラキラしたオシッコがでる(結晶が含まれる)
■膀胱炎の症状
膀胱内に細菌が増殖し、炎症を起こす病気です。
〇トイレに行く回数が頻繁になる
〇トイレに行っても少ししか出ない
〇オシッコの臭いが強くなる
〇血尿がでる
静かに進行する腎臓病
とくにシニアのわんちゃんと猫ちゃんに気を付けたいのが腎臓病です。
人も寒い場所にいくとグッと肩に力が入ることがあると思いますが、わんちゃんと猫ちゃんも寒さとともに血管が凝縮することによって血圧が上がります。それに伴って腎臓への負担も増えていきます。
腎臓病は気づきにくく、一度低下した腎機能が回復することはありません。とくに慢性腎不全と診断された場合は、すでに三分の二程度の腎機能を失っている場合が多いといわれています。腎臓の大切な働きとして、身体の中の老廃物や塩分をろ過し、必要なものは再吸収して尿を作り、毒素は尿の中に排出する役割を担っています。また、血圧やホルモンバランスの調整も大切な役割です。腎臓機能が低下すると、身体の中に老廃物が溜まり、様々な影響を及ぼすことがあります。
定期健診の血液検査で腎機能の低下を見つけることもできるので、早期に発見し、それ以上悪くならないよう薬や療養食で進行を止めることに最善を尽くしましょう。
■急性腎不全の症状
・心臓や循環器の急激な機能不全
・尿排泄障害
・敗血症など
■慢性腎不全の症状
・進行に気づいた時は75%以上の機能が停止
・回復は難しい
・多飲、多尿
・食欲不振
・嘔吐
・体重減少
腎臓病の進行を遅らせるために
元に戻ることが見込めない腎臓の治療は、投薬の役割も腎機能を回復させるというより尿毒症などへの進行を遅らせるものになります。
脱水を避けるために常に新鮮なお水が飲める環境を整え、お水をあまり飲まない場合は経口補液が必要な場合もあります。また、進行を遅らせる投薬や療養食(リン・タンパク質・ナトリウムの制限)のほか、老廃物を吸着して排出するサプリメントの活用もあります。
とくにシニアのわんちゃんと猫ちゃんが患うことの多い腎臓病は、早期に発見して食事などを変えていくことが大切です。腎機能は急激に悪化することもあるので、シニア期になったらこまめな定期健診でチェックしていきましょう。
ライター:今井由江